第1章

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「…はい、とてもわかりやすかったので俺でもしっかり理解できました。」 ニコリと嘘の笑顔を浮かべた吉沢だったが…その笑顔は完璧なもので、嘘笑いにすら見えなかった。 「……そうか、それは良かったな。……原田、ありがとうな。助かった。」 「あ、いや!俺は別にねぇ?何もしてないから。新人に仕事教えたりするのは結構好きだし。」 「……ホント、お前の方がこの役適任だろ。」 「それ言う?会社の意向だから頑張れよ。じゃあ俺、今回のイベントで必要そうな人材選びするから後は頼んだよ。」 「わかった、無理に頼んで悪かったな。」 「いいって!じゃあ仕事頑張ろうぜ!」 そう言って、原田は気さくな笑顔を浮かべると自分のデスクへと戻っていった。 そんな2人の様子を見ながら吉沢は…何でも上から物を言う森下が素直に感謝の言葉や謝罪の言葉を同僚に使っているのを新鮮な思いで見ていた。 ---やっぱり……森下さんって結構原田さんのこと信頼してるんだろうな…、そう思った吉沢であった。 「…い、おい、吉沢!」 「…あっ、はいっ!」 「……お前な、その『あっ、はい』ってやめろ。もっと目上の方と話したりする時に失礼になるからな。」
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