第1章

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溜息をつきながら指摘する森下。一回言ったら覚えろという顔をしている。 「…すみません、気を付けます。」 そんな顔を読み取ってか、吉沢は首部を垂れた。 その様子はまるで……叱られてシュンと落ち込み、尻尾までも垂れ下げてしまった大型犬の様に見えた。 その姿を見て、流石に心が痛んだ森下は吉沢から目を逸らして言った。 「…次からは気をつけろ。とりあえずお前はこの資料を読んでおいて今回のイベントの内容を把握しておいてくれ。あと、誤字脱字があれば付箋で訂正してくれると助かる。」 バッと素っ気ない態度で資料を渡された吉沢は…やっと仕事が出来る!というキラキラした表情でその資料を受け取った。 「…わかりました!やっておきます!」 「…ん、頼んだぞ。」 資料を手にして、ルンルンとした様子で自分のデスクに戻って行った吉沢を見て…森下は一抹の不安を覚えつつも自分の仕事を再開させた。 ---昼休憩に入り、社員たちがそれぞれ食堂へ向かったり、自分のお気に入りの場所で休憩する中…森下も仕事が区切りの良いところまでいったため、自分で作ってきた弁当を食べ始めていた。 そんな中、吉沢というと…資料を読むのに一生懸命になっていた。
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