第1章

24/26

541人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
初めての仕事だ!と意気込んでいた吉沢であったが…彼は読んだりするのがかなり苦手な人間だった。 じっくり読む込むことは大切ではあるが、仕事となるとどうしても効率が第一になってくる。 そのため、重要なところを自分なりに理解し、その部分を重点的に読んで全体を把握することが必要なスキルとなるわけだ。 しかし…じっくり読み込み、どこに誤字脱字があるかを確認していた吉沢は必要以上に資料を読むのに時間を費やしていた。 昼の弁当を食べ終わった森下が、そう言えば…と、吉沢のデスクへ向かうと……吉沢は何も食べずに資料に目を向けていた。 「おい、おい吉沢。」 「…えっ!?は、はい!…どうしました?森下さん?」 「…吉沢、まだそれ読んでたのか。」 と森下が言うと…吉沢は資料に目をやり、苦笑いを零した。 「はい…じっくり読み込んでおきたいなって思って…あと、誤字脱字も見つけなきゃって躍起になってて…」 「……じっくり読み込むのはいいけどな、仕事はスピードも大事だ。限られた時間でどれだけ多くの仕事をこなせるかが重要になってくる。そこはわかっておけよ?」 「…はい。」 ---また怒られた…今日だけで何回怒られるのか……と思っていた吉沢は、また資料に目を戻そうとした。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

541人が本棚に入れています
本棚に追加