第2章

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吉沢にとって慌ただしい初日が終了してから約2週間…… 「おい、吉沢!!お前、この資料何枚コピーしてんだよ!?」 「えっ、言われた通り20枚…」 「は?お前コピー機もろくに使えねぇ馬鹿なのか?枚数多くなる時は両面印刷にしろ。紙代だってタダじゃねぇんだぞ?少しでも経費削減しろ!」 「…す、すみません…。」 相変わらず吉沢は森下に怒鳴られていた。 自分が悪いのはわかっていながらも、頭ごなしに怒鳴りつける森下に嫌気がさしながら、吉沢は何とかそれを出さないようにと気を配っていた。 ---そして、吉沢が森下の機嫌を窺ううちに見つけたこと…それは、森下の機嫌が唯一良い時が、昼ご飯を食べる時だということだった。 最初はバタバタしていて気付いていなかった吉沢だったが、森下はどんなに忙しくても正午ぴったりに作業を止めて自分の鞄から弁当を出すと、綺麗に手を揃えて食べるのだ。 ご飯を食べている時は本当に幸せそうな表情を浮かべており…吉沢は毎日、あんな顔もするんだなぁと心の中で思っていた。 そういえば、初日の頃も昼ご飯を食べるように言われたっけな…と今更になって思い出す吉沢だったが、もしかすると弁当の話題を出せば森下ももう少し自分を可愛がってくれるのでは!?という淡い期待も同時に抱いていた。
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