第1章

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森下はそのまま会社に行く準備を始め、スーツに袖を通し、ネクタイを締めたその瞬間から完璧な仕事出来る人間へとシフトチェンジする。 自分で詰めた弁当をバックに入れると森下は会社へと向かった。 「森下さん、おはようございます。」 「おはようございます!」 「…おはよう。」 会社での森下のイメージというのは、クールで無愛想で、仕事ができるというもの。 テンションが上がるということはほとんど無いし、掃除や皿洗いなどが嫌いなところからも分かるとは思うが、面倒事がとにかく嫌いな森下は基本的に誰とも連もうとしない。 さらに目つきは鋭く、身長が低いので下から睨みつける形になってしまい、自然と人も寄り付かない。 『森下さん、今日も機嫌悪いな…』 『ヘマしないようにしようぜ…』 そんな声もチラホラと聞こえる。 しかし、森下…仕事もできるし、将来も有望。さらに、身長は低くて目つきは悪いが顔はそれなりに整っているため、モテ要素が無いわけではない。 ではなぜ、女子すら森下に寄り付かないのか。……その理由は昼休憩にある。 ーーー貴重な昼休憩の時間。それは、森下にとっても弁当を食べる大切な時間だ。
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