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「あっ…えっと……それは、良かったです…?」
流石の吉沢も、見慣れない森下の笑顔に戸惑ったようで…言葉に詰まったようだ。
「…フッ、さ…俺も食べよっ…。いただきます。」
そう言って手を合わせると自分も食べ始めた森下。
そんな様子を、吉沢が手を止めて見ていた。
「……何だ?俺の顔に何か付いてるか?」
「あ、いえ…。ただ、俺…森下さんが食べてる姿、結構好きなんですよね。美味しそうに食べるし、所作も綺麗だし。」
素直に自分の思いを伝えた吉沢に、森下は少し驚いたと同時に、そんな所まで見られていたのかと羞恥心を抱いた。
「……そうか?」
「はい!…あ、でも俺も早く食べないと!せっかくのご飯が冷める!」
と言うと、また黙々と食べ始めた。
---どちらも食べ終わって、食器を台所に置くと、そのまま吉沢は洗濯機を回してすぐに食器洗いを始めた。
その様子をじっくりと見つめる森下。
「…どうかしましたか?」
視線に気づいたのか、吉沢が食器を洗う手は止めずに、首だけを動かして森下を見た。
「…いや……、本当にお前の動きには無駄がないなって思ってな。俺だったら皿を水につけただけで満足して、すぐテレビ観るな…と。」
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