第2章

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「…はい、わかりました。……森下さんの美味い飯のため、俺は料理以外の家事を全てこなし、この契約書通りにこの家で住むことを承諾します。もし、この契約を破った場合には…この家から出て行くことを誓います。」 吉沢が森下を見てその言葉を言い切ると、森下はニヤリと微笑んだ。 「……お前、面白い奴だな。…まぁ、バカに変わりはないけど。」 「…バカって言うのやめてもらえますかね…?」 「バカにバカって言って何が悪い。…じゃあ、契約成立ってことで…」 吉沢のサインが書いてある契約書を、目の前でヒラヒラとさせる森下。 「これからもよろしくな?吉沢。」 「…よろしくお願いします……森下さん。」 ---今日ここに、とんでもない契約が成立してしまったのだった。 それから約2週間後……。 元住んでいたアパートを解約して、大荷物を抱えた吉沢が森下のマンションへとやって来た。 「おお、よく来たな。」 「…今日からお世話になります。」 「…はいはい、そういうの良いから早く入れ。お前には早速家の片付けやってもらわないとな。」 「……あの、前片付けて帰りましたよね?俺……。何か、前より酷くなってません…?」 ---こうして2人の前途多難で奇妙な同居生活が始まった。
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