第3章

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「…ご馳走さま。じゃあ、俺は先に行く。」 「あ、はい!食器、流しに置いといて下さい。俺が後片付けしておきますんで!」 「悪いな、じゃあまた会社でな。」 サッサと支度を済ませた森下は、いかにも仕事が出来る男のように颯爽と家を出て行った。 「……今日も朝から幸せだな…。美味い飯が食えるって…。」 1人取り残された吉沢は、そんな事を呟きながら食器を洗い片付けを行っていた。 そんな時ふと、吉沢は森下との未来を考えていた。 ---この契約は、一体いつまで続くのだろうか。契約を違反した場合に、自分がこの家から出て行くということは約束していたが、具体的な期日は決められていなかった。 「俺がずっといても、森下さんが邪魔じゃなければ…いてもいいのかな……。」 「…何て!今はそんな事考えなくてもいいか!!俺も早く片付け終わらせて会社行かないと!!」 ---吉沢は、相変わらず能天気な人間だった。 弁当を忘れずに持ち、森下から貰った合鍵を使って鍵を閉め、吉沢は今日も機嫌良く家を出発した。 森下のマンションから会社までは歩いても15分程度なので、今まで電車で1時間近くかかっていた吉沢としてはギリギリになってから出勤することがしばしばだ。
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