541人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
「い、いや…でも俺……人に教育するとか、よくわからないのですが…。」
会社側が森下に期待してくれているのは十分わかるが…森下にとって、その要求はすんなり受け入れ難いものだった。
「お前はプロジェクトリーダーでもあるし、大変だとは思う。けど、教育することで新しい発見もあるかもしれない。…だからやってもらいたいんだが……」
「やりたくない」とは言い難い雰囲気を作られ、森下は渋い顔をしながらも口を開いた。
「…わかりました。俺に務まるかどうか不安ですが、精一杯尽力させていただきます。」
「おぉ、森下ならそう言ってくれると思ったよ!よろしく頼んだぞ。」
上司はバシバシと音が出るぐらい強く森下の肩を叩いて「これで部下に仕事を回せたぞ!」という顔をしていた。
---今まで会社の中では誰とも関わらないようにしてきた森下は、これからの自分の会社での仕事に支障が出るのでは…と危惧し始めていた。
無理矢理上司から新入社員の教育係を押し付けられてから約2週間後……ついに、新入社員が会社に来る時期となっていた。
上司から事前に新入社員の情報は聞かされていたが…自分には絶対合わない人間だ、という思いが森下を支配し、彼の機嫌は朝から最悪だった。
最初のコメントを投稿しよう!