第3章

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必要な書類を提出した森下は、席に着くなり「はぁぁぁ」っと長い溜息を吐いた。 これで後はイベントを待つのみ、というところまで来たためだ。 「斎藤!」 森下は斎藤を呼ぶと、先程部長に提出した書類を彼女にも渡した。 「これ、お前も当日イベントに来るだろう?目を通しておいてくれ。」 「はい、分かりました。お疲れ様です、森下さん。コーヒーか何か飲みます?」 「あー…今はいい。後で自分で淹れるわ。」 「はい、それでは。」 斎藤は森下の前では気丈に振る舞い、やはり出来る女、頼り甲斐のある女感を出しまくっていた。 「吉沢、吉沢!」 そんな2人の光景をボォーっと見つめていた吉沢。心ここにあらずといった状態だ。 「聞こえてんのかって、吉沢!」 そう言って森下はポカッと丸めた資料で頭を叩いた。頭を叩かれた吉沢は、やっとそこで意識を取り戻した。 そして、思ったよりも近くにあった森下の顔に思わず驚き、後退した。 「は、はい!すみません!な、何ですか!?森下さん!」 「…そんな驚くことないだろうが…。これ、次のイベントで使う資料だからお前も目を通しておけ。後、万が一誤字脱字があった場合には俺に教えてくれ。早急に直す。」 「わ、わかりました!」
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