第3章

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吉沢は全く思い当たらず、首を傾げた。 ---確かに、入社して間もなくは本当に厳しくて、全然笑わないし、関わろうともしないし、言葉もキツイし…心が折れそうな毎日だった。 ……そう考えると、今の方が良いのかもしれないが何せ、今だって吉沢には厳しい。悪口だって言われるし、無愛想だし……でも、少しだけ表情は柔らかくなったのだろうか? 「そう…言われれば……?」 「…まぁ、吉沢君は気付かなくても仕方ないと思うけど、少なくとも前からいる社員達で気付く人はいると思うよ。」 「そう、なんですか…?」 「そうそう…いやぁ、最初こそ水と油だなぁとか思ってたけど、意外と良いコンビかもしれないね。森下と吉沢君は。」 『コンビ』なんて言われたのは初めてだったため、何だか照れ臭い気持ちを抱いた吉沢。決して悪い気はしない。 「さぁて、仕事しなきゃなー。早く終わらせないと森下に俺まで怒られちゃう!」 「俺までって…何で俺が怒られる前提なんですかっ!」 「いやー、そんな事ないよ!さぁ、仕事仕事!!」 そうニコニコと楽しそうに笑いながらパソコンを見始めた原田。 --ー切り替えが早い。 その原田の姿を見ながら吉沢も席に戻って作業を再開した。
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