第3章

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元気な返事をする吉沢に、フッと笑みをこぼす森下。 「返事だけは威勢いいな、静かにしてろよ?」 「また…!森下さんの邪魔するわけないじゃないですか…!今までたくさん準備してきた大事なイベントですもん。」 そう言って少し不機嫌になる吉沢。少し頬を膨らませている吉沢の姿が可笑しくなったようで、森下は吉沢に思わず手を伸ばす。 有り得ない森下の行動に、思わず食べていた物を取り落とした吉沢。 ーーーなんと、吉沢の頭をくしゃくしゃと撫でる森下がそこにはいた。その微笑みは穏やかで、愛らしいものを見つめる目つきだった。 「…お前、可愛いな。」 「も、森下…さ、ん?」 どんどん顔が真っ赤になっていく吉沢に、森下も我に返りスッと手を引っ込める。どうやら森下は目の前にいる吉沢を犬のように思ったのだろう。 「…悪い。嫌だったよな…。」 吉沢は犬ではないし、自分より若いにしろそんな頭を撫でられる歳でもない。自分の思ってもみない行動に、さすがの森下も反省する。 「嫌…では、なかったです。」 「え…?」 「…寧ろ」 そう吉沢が言うと、引っ込めた森下の手を引っ張って自分の頬に持ってきた。 「もっとして…ほしいな、なんて。」 そう言っていたずらっ子のように微笑んだ吉沢の頬はまだ赤い。
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