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元気な返事をする吉沢に、フッと笑みをこぼす森下。
「返事だけは威勢いいな、静かにしてろよ?」
「また…!森下さんの邪魔するわけないじゃないですか…!今までたくさん準備してきた大事なイベントですもん。」
そう言って少し不機嫌になる吉沢。少し頬を膨らませている吉沢の姿が可笑しくなったようで、森下は吉沢に思わず手を伸ばす。
有り得ない森下の行動に、思わず食べていた物を取り落とした吉沢。
ーーーなんと、吉沢の頭をくしゃくしゃと撫でる森下がそこにはいた。その微笑みは穏やかで、愛らしいものを見つめる目つきだった。
「…お前、可愛いな。」
「も、森下…さ、ん?」
どんどん顔が真っ赤になっていく吉沢に、森下も我に返りスッと手を引っ込める。どうやら森下は目の前にいる吉沢を犬のように思ったのだろう。
「…悪い。嫌だったよな…。」
吉沢は犬ではないし、自分より若いにしろそんな頭を撫でられる歳でもない。自分の思ってもみない行動に、さすがの森下も反省する。
「嫌…では、なかったです。」
「え…?」
「…寧ろ」
そう吉沢が言うと、引っ込めた森下の手を引っ張って自分の頬に持ってきた。
「もっとして…ほしいな、なんて。」
そう言っていたずらっ子のように微笑んだ吉沢の頬はまだ赤い。
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