■成人した私は、それぞれ自立した姉弟と食事の機会を持った

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その後の食事自体は、楽しく充実した時間であった。 それぞれの近況で盛り上がり、何時の間にかすっかり日も暮れた。 姉は一昨年結婚をし、立派な家庭を持った。 今では、子供を設けた身でもある。 ―――迎えにきた夫の車で、遠くの街へ帰宅していった。 今では、人の親となった彼女。 きっと、親子三人で暖かい食卓を囲むのだろう。 それでも、黙殺されて続けてきた母の気持ちが理解出来ないのだろうか? 正直、私には姉がとても非道な人間に感じられた。 気が付けば、終電も過ぎた時間。 私は、弟に自宅で軽く酒でも飲み交わす事を提案した。 狭いアパートではあるが、私と弟は兄弟であり同性だ。 いささか肉身相手に気にしすぎかとも思うが、何の問題も無い。 ―――買出しを済ませ、周りの住人に迷惑にならぬ用にそっとアパートの鍵を開けて扉を開く。 扉を開ければ、私にはもう見慣れた薄暗い部屋。 いい歳をして独身の中年サラリーマンの部屋など、だいたいこんなものだろう。 明かりを点けようと壁を手探りしつつ室内を進んでいると、未だ弟が玄関で立ち尽くしているのに気が付いた。
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