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今でも忘れられないのはあの卒業の日。
あの子を探して見つけた。
先生と話しているあの子。
何となく出て行きづらくて、隠れるようにして話が終わるのを待った。
どうかこのまま何もなく終わりますように。
だけど願うだけ無駄だった。
あの子が言ったのだ。
「私は、先生が好きでした」
静かな空間に落ちたあの子の言葉。
知っていた。知っていたけど、頭が真っ白になった。
なんで、なんであの人なの……?
そればかり頭の中でぐるぐる回って。
少ししてあの子が教室から出てきた。
私に気づかず走っていくその横顔が涙で濡れていたから。
無意識だった。
足を踏み出して、追いかけようとした時、突然肩を掴まれた。
驚いて振り向こうとした瞬間、耳元で声が。
「ごめん」
そう言ってあの子をおいかけていったあの人の背中。
私は立ち止まったまま、動けなかった。
どうして、どうして私じゃだめなの?
好きなのに、大好きなのに。
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