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「もう、会いたくないです。あなたにも、あの子にも」
好きだから。
あの子を好きだから。先生のことも好きだから。
好きの形が違っても、どっちにも酷い言葉を投げつけたくない。
これ以上汚い感情をぶつけたくない。
「さようなら」
涙を拭って先生に背を向ける。
「あきら、気を付けて帰ってね」
後ろからかけられた言葉に驚いた。
先生はいつも生徒を名字で呼んでいたのに。
どうして最後に名前で呼ぶんですか?
酷い言葉を投げつけたのに、私の名前を呼んでくれるんですか……?
最後まで気を遣ってくれるんですか……?
廊下を曲がって先生から見えないところまで来て。
しゃがみ込んだ。前が見えなくて。
涙が溢れて、止まらなくて、声を押し殺して泣いた。
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