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それから私はあの子に会うことなく大学に入学した。
入学式の時に安心した。
これで、あの子のことは忘れられる。
新しい出会いを求めて。
だけど、だめだった。
色々な人に会って、たくさんの人と話した。
なのに私の中にはいつもあの子がいて、ふとした瞬間にあの子を探してしまうことに気が付いた。
会わなくなった途端、気持ちがどんどん大きくなって、忘れるどころかいつも想っていた。
ある日、街で見かけたあの子の姿。
1人で歩くあの子に私は声をかけれなかった。
あの後、先生との関係がどうなったのか聞くのが怖くて。
その背中を見送った。
声をかけたかった。「久しぶりだね」って、前みたいに話したかった。
自分が弱くなったことに気が付いた。
次こそは声をかけよう。
そう決心して、だけど次の時も声をかけられなくて、何度も繰り返した。
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