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『未来の自分へ
成人式の悪ノリで、将来の自分に向けて手紙を書くことになりました。
普段ならば何も書くことなんてないのですが、さっき開けたタイムカプセルの中身を見て、僕は僕に伝えなければならないこと、そして、僕自身がやらなければいけないことを思い出しました。
手紙を読んでいる僕はまだ、マンガ家になりたいという夢を覚えているでしょうか。
小学生になって初めてマンガを読んで、魅力的なキャラや心に残るストーリーに感銘を受け、僕は自分自身でも物語を描きたいと思うようになりました。
そして絵の練習をして、授業中もずっとストーリーを練って、やっと一本のマンガが完成しました。
その作品を賞に応募したところ、一番小さな賞でしたが、選んでいただくことができました。
その時は信じられなくて、何度も何度もページを見直して、本当だとわかった時には思わず飛び跳ねたことを覚えています。
それからはもっと本気でマンガに打ち込むようになって、高校生になって画材を買うためにバイトを始めました。
マンガのためのバイトのはずが、いつのまにかバイトのためのバイトになって、僕はマンガを描かなくなりました。
いつしかマンガ家になりたいという夢を頭の片隅に追いやって、僕はただただなんとなく、楽しいけれど退屈な日々を過ごしていました。
そんな時、タイムカプセルに入っていた、僕の作品が受賞したことを知らせてくれた号のマンガ雑誌が、僕に夢を思い出させてくれました。
僕にとってそれは、まるで空から降ってきたような、思いがけないプレゼントでした。
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