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「阿久比に企んだって何もならないだろ」
藤守は口元に笑みを浮かべる。イラつきが増し、俺は茶封筒をテーブルに叩きつけた。
「それ、どういう意味だ」
「そのままの意味だよ」
「はあ?」
「とにかく。それは俺からのプレゼントだから。四の五の言わず、素直に受け取ってよ」
「ざけんなよ!」
俺は茶封筒をそのまま藤守に投げつけた。驚きながらも藤守は封筒をキャッチする。
「えー…なんで怒る?」
「馬鹿にしてんのか!何が素直に受けとれだ!どーせな、俺は夢に破れて借金残して、まともに働けない社会のクズだよ!」
「えぇ…」
キレる俺に笑いながらも明らかに引いてる藤守。この怒りは酒の勢いもあるけど、そもそもは藤守のせいだ。
「そんなこと言ってないし」
「そう思ってんだろ!だから、起業して成功した藤守社長さまが?お恵みを与えましょうってか?ざけんな!!」
「いやいやいや」
藤守は苦笑して首を横に振る。
「待って待って。確かに、そういう解釈されるのは致し方ないけど。俺はそういうつもりは全然なかったし。本当に、ただのプレゼントだし」
「何でプレゼントが現金なんだよ!それが意味わかんねぇって言ってんだよ!」
怒りの勢いに任せて、俺は残ってたハイボールを一気にあおった。
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