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欲に溺れたレッドは、魔人を襲う
あれから、あの魔人の顔が頭から離れない。
「ガルディア……か」
ふとその名前を口にしたくなる。
もう一度アイツに会いたい。どんな形でもいいから話がしたい。アイツの全部が知りたい。
これはもう完全に『恋』だ。それ以外有り得ない。
二十一年生きてきた中で、恋をしたことは何度かあった。
学校の先生、合コンで知り合った年上お姉さん、行きつけの店の店員。
けれど。
自分からここまで執着したことは、今まで一度も無かった。
もしかするとこれは、恋よりも、もっとおぞましい感情かもしれない。
これ以上彼に執着すれば、自分が自分じゃいられない気がする。
そうなればきっと、もう元には戻れない。
けど、それでもいい。
なんとかして会いたい。でもどうすればいい?
彼は魔人だ。いずれ戦う運命なのだから、自分が何かしなくても必ずまた会えるのは確実だろう。
でも、そういう会い方はなるべく避けたい。
そうなってしまえば、俺はガルディアと戦わないといけなくなる。
それだけは嫌だ。好きな人を傷つけたくない。
「それにもし、俺が魔人相手にこんな気持ちを抱いているなんて事がヒーロー管理部会にバレれば」
俺はきっと、レッドを辞めることになる。
「ま、それも覚悟の上だ」
禁断の愛には障害が付き物。
ならば、そのくらいの覚悟は決めなくてはいけない。
大事にしたいから、この恋を。
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