弱虫ブルーと、魔界の王

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「ブルー、君だけでも逃げろ」 「え?」 「いいから逃げるんだ!じゃないと、きっと二人まとめて殺されてしまう」 僕に近づこうとするリア・リセスから守るように、レッド君は僕の前に立って鞘から剣を抜いた。 「俺なら大丈夫さ。必ずアイツを倒してみせる」 そう言って僕に背を向け、剣を構えるレッド君の手は震えている。 怖いはずなのに、僕の為にレッド君は命をかけて守ろうしてくれていた。 それなのに僕は、敵に見惚れたままただ立ってるだけ。この目で魔界の王を見れた喜びは大きいけれど、今の僕は氷の戦士ブルーとしてここにいる。 気持ちを切り替えなければ、僕達は殺される。 「僕は逃げないよ。レッド君」 「ブルー……」 「僕も、ヒーローだからね!」 役には立たないかもしれないけど、もうこれ以上誰かが死ぬのは見たくない。 「分かった。一緒に戦うぞ!ブルー!」 レッド君は赤く燃える火の剣先をリア・リセスに向けて、強がった笑みを浮かべた。 「魔界の王リア・リセス。お前はこの俺レッドが倒す!」 僕もレッド君に続いて、自分の武器に手を伸ばそうとした。 だがその時。 「貴様は、不思議な人間だな」 いつのまにか僕の背後に立ってまじまじと顔を覗き込むリア・リセスの姿に、手が止まった。
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