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いつから僕の背後にいたのか、そもそもどうやって移動したのかも分からない。
瞬間移動でも出来るのか、この魔界の王は。
「クソッ!」
突然すぎるショックに未だ動けていない僕を助けるべく、レッド君はリア・リセスに向かって剣を振るう。
しかしその一振りは片手一本で簡単に受け止められてしまい。レッド君は剣を振るう事も抜くことも出来ないまま、必死に掴まれた剣を引っ張っている。
普段のレッド君ならそのまま炎の威力を上げ、相手を燃やし尽く策に出ているはずなのに。焦りでいつもの思考が上手く働いていない。
「全く。人間は何処までも愚かだ。そのような剣でこの俺を倒せるとでも思ったか?」
赤い炎に包まれた剣を片手で受け止めたまま、視線を僕からレッド君へと向ける。
しかしその眼には、僕を見てる時のような興味も関心もない。
今までの経験上、敵というのは強い相手の方に興味が湧くものだったのに。どうしてリア・リセスはレッド君よりも弱そうな僕に目をつけるんだ。
「ぐっ、くそっ!」
このままでは埒が明かないと判断したのか、レッド君は一度剣から手を離し。僕の腕を引っ張って、リア・リセスから少し距離を取る。
ヒーロースーツを着ているにもかかわらず、あのレッド君が力負けをしてしまったのか。
「フンっ。なんだつまらんな。その程度か」
飽きられた玩具のように、レッド君の剣は無造作に地面へ投げ捨てられた。
レッド君の武器は奪われ、僕一人でどうこうできる相手でもない。
ここは一旦引き返して、ヒーロー管理部会連絡をとった方がいい。
「逃げよう!レッド君!」
「そうはさせん。来いガルディア、貴様はあの赤い男の相手をしろ」
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