弱虫ブルーと、魔界の王

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弱虫ブルーと、魔界の王

「きゃあ!!誰か助けっ……」 女の人の悲痛叫びが、誰もいない路地で空しく消えた。 「人間ごときが。手間かけさせやがって」 まるで人形のように動かなくなってしまった女性の前に立つ一匹の魔人。その手には、黒々と染まった靄のようなものを浮かせている。 「さて、仕事は終わったし。帰るか」 その靄を小さな瓶に入れて、魔人はさっさとその場から立ち去ろうとしていた。 あの魔人をこのまま見過ごすわけにはいかない。 けれど今は僕一人だけ。勝てる自信なんて全くない。それどころか、今も恐怖で足が震えている。 けれど、こんなところで逃げていられない。 敵に立ち向かえ。 「ま、待て!!」 「あ?」 だって僕はーー。 「変身!!」 悪を倒す、ヒーローなのだから。 「氷の戦士、ブルー参上です!」
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