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もしかして、簡単に殺すのは面白くないとでも思っているのか?残虐で残酷な魔人なら有り得る話だが。
けれどコイツの表情からは、そんな悪い感情が読み取れない。
そもそも何も考えて無さそうに見える。
「ゴホッ!くっ……そぉ……」
俺は、こんなよく分からないコンビニ服を着た変な魔人に一発殴られただけで、今までの全てを水の泡にしてしまうのか?
あんなに鍛えたのに、あんなに強くなったのに、あんなに頑張ったのに。
悔しい。悔し過ぎる。
これじゃ死んでも死にきれない。
こんな魔人なんかに、やられてたまるか。
「うぐっ、あっあぁあ!!」
もう、痛いのかもわからない腕をゆっくり上げる。
「こ、んな……ところで、死ねない」
俺に触っていた魔人の細い手首を掴む。
こんなのは無駄な抵抗だって分かっている。こんな力すら入らないこの手で、魔人を止めることなんて到底できない。
けれど、死ぬわけにはいかないんだ。
俺が死んだら、これから先、人々は一体誰を頼って生きていくんだ。誰に助けを求めるって言うんだ。
「俺が、やらなきゃ」
皆には、レッドが必要なんだ。
「お、れがぁあ!!」
ヒーローの中心である俺が、これからも戦って、守り抜くんだ。
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