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「……なんだブルーか」
「えぇ!?ちょっ、な、なんですかその反応!」
「え?だってお前弱いじゃん」
「うぐっ……」
専用のヒーロースーツにまで着替え、カッコよく登場したのに。まさかのド正論を突かれて、今にも戦意喪失してしまいそう。
「よ、弱くても、僕だって、た、戦えますよ!」
「ヒーローの中でも弱くてビビりなブルーが、よくそんな大口叩けるな?え?言っておくが俺は怖くもなんともねぇぞ?」
「なんでですか!?このヒーロースーツを着ていれば、僕だって人間以上の力を発揮でしますし。それに武器だって持ってるんですよ!それでも……す、少しも警戒しないのですか?」
「しない。だってお前、結局ビビッて何も出来ないじゃん」
「うぐっ……」
またまた正論を突かれてしまった。
確かに今の僕はこんな挑発をするだけで限界だ。足が一歩も動こうとしない。
「今から倒す相手に向かって敬語使ってるし。視線は泳いでるし。そんなんじゃお前、戦う前から負けてるようなもんだぜ?」
「そ、そんな……」
ことごとく心を傷つける言葉は、いつのまにか僕の自信を喪失させていた。
「……やっぱり僕一人じゃ無理だよ」
一歩も動けなかった足が、絶望するようにガクリと膝を折ってしまう。
地面に尻餅ついて、今にも泣き出しそうになる自分はなんてかっこ悪いヒーローなんだ。
「はぁ……。お前ヒーロー失格だな」
「っ……」
へたり込む僕を、冷たい視線が見下ろして来る。
自分でも分かっているんだ。
僕みたいな弱虫で度胸もない男が、ヒーローに向いてるわけないって。
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