弱虫ブルーと、魔界の王

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「なっ……」 燃え盛る炎の刃が、僕を締め上げる魔人の胸を貫いていた。 何が起きたのか、僕も魔人も理解が追い付かない。ただ魔人は、胸に刺さった炎の剣を引き抜こうともせず。ただ痛みに歪んだ顔でそのまま硬直していた。 その光景を目の前で見せられた僕は、もっと硬直している。 恐怖というより、絶望に近い。 「炎の戦士。レッド参上」 「き、さま……れっど……」 「人間達を苦しめる魔人が。炎に焼かれて消し炭になれ」 魔人の憎しみに満ちた言葉も空しく、貫かれた胸から広がった炎の渦に魔人は全身を焼かれ。そのまま散り一つ残さず消えてしまった。 レッド君の台詞といい、悪の倒し方といい。もしこれが子供番組の戦隊ヒーローものだったとしたら、きっと子供はトラウマものだろう。 実際高校二年生の僕でさえ、今にも泣き出してしまいそうだ。 「大丈夫かブルー?」 「う、うん……大丈夫」 「ほら」 苦しさで情けなく座り込む僕に優しく手を差し伸べてくれるその大きな手は、先ほどの恐怖さえ包み込んでくれそうな、まさしくテレビで見るヒーローそのものの温かな手。 「ありがとう。助かったよレッド君」 「仲間を助けるのは当り前さ!」     
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