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「おぉそうだった。忘れていたぞ」
急に何かを思い出したように立ち上がったリア・リセスは、腰に手をついてニヤニヤと嫌な笑みを浮かべている。
なんだろう、とても嫌な感じしかしない。
「貴様、あの屋上での約束を忘れていないだろうな?」
「約束?」
その時。自分が咄嗟に言ってしまったとんでもない言葉を思い出して、思わず青ざめた頬から冷や汗を流した。
「『後でなんでも言う事聞く』と言ったよなぁ?」
「うぐっ……」
言った。確かに僕は言ってしまった。
屋上で『言うことを聞く』と。
ホント、どうしてあんな身勝手な事を言ってしまったのか。
あの時の僕は、もっと慎重に言葉を選ぶべきだったと思う。
「クククッ。今から貴様は俺の奴隷。いや召使になったも同然」
「それ、恋人に向かっていう言葉じゃありませんよ?」
「ふんっ。今はいいのだ!それに言い出したのは貴様の方だぞ?自分の言った事くらいは守らんか」
「す、すみません。それで、その……僕にどんな命令をされるのですか?」
頼むから無理難題な命令だけはやめてほしいと、願掛けするようにただひたすら手を合わせながら、僕の前で仁王立ちする魔王様の命令を待った。
「うむ。そうだな……では!」
「では!?」
「俺を、遊園地に連れていけ!」
「……はい?」
全く予想だにしていなかった命令に、僕の首は横に倒れたまま、ただ唖然と固まる事しか出来なかった。
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