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金髪のベリーショートに、お洒落な伊達眼鏡をかけた女たらしの白井幸とは同じ大学で、同じ寮で、そして同じ部屋で共同生活をしている友人だ。
毎日同じ部屋で暮らすという理由もあって、俺は白井にだけ素を出している。
っていうのも、俺はレッドとして皆を守っている正義のヒーロー。今ではほとんどアイドル的存在になっている。
皆に優しくて、明るくて爽やかで、謙虚で、女子にはモテて、友達も多い。
そんな二次元にしかいなさそうなパーフェクト男が、俺のイメージ。
一度ついてしまったイメージは、なかなか取れることは無い。
ならばもうそのイメージを突き通すしかない。
毎日明るい笑顔を崩さないように頬を鍛えて、敵に負けない力を得るために筋トレして、優秀で居続けるために勉強して。
誰にも気づいてもらえない努力を積み重ねてきた。
俺が皆のヒーローでないといけないんだと。レッドでいる限り負けることは許されない。落ちこぼれることは許されないんだと。毎日毎日毎日自分に鞭を撃つように言い聞かせながら頑張ってきた。
だからこそ、あの時のガルディアの言葉がとても胸に響いたんだと思う。
皆が当たり前だと思ってきたレッドの肖像を、あの魔人だけは俺が自分自身で努力して作り上げたものだと見抜いていてきたから。俺は。
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