上司の部屋で、ブルーは王にキスをする

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上司の部屋で、ブルーは王にキスをする

朝目覚めると、案の定身体が筋肉痛になっていた。 それもそうだろう。あの時は変身していたからよかったものの、その後の身体への負担は相当なものだ。 特に今まで逃げていた僕が、あれだけの命がけな救助をしたんだ。身体が悲鳴をあげてもおかしくない。 「いたたっ……」 けれど。仮にもヒーローをやっている自分が、たった一度の救助でここまで身体を痛めて、寝込んでるのはいかがなものか……。 レッド君ならきっとこうはならない。 これは単純に、自分が非力なだけだ。 ブルーとして、正義のヒーローとしてやっていくなら、こんなのは当たり前にならなきゃいけない。痛みで寝込んでる場合じゃないんだ。 「よし!今度レッド君に、どんな訓練をしているのか聞いてみよう」 まずは今まで以上に身体を鍛えて、レッド君のような引き締まった筋肉を付けて、そんでもってどんな魔人も倒せる強い力を身につけて……。 「あっ、そうだった。今日はリア・リセスと遊園地に行く日だった」 魔人という単語で、僕は昨日のリア・リセスとの会話を思い出してしまった。 『なんでも言うことを聞く』その命令は、僕の予想を別の意味で遥に上回るものだった。 「まさか『遊園地に行かせろ』だなんて、一体何を考えているんだろう。あの人は」 屋上で見せた悪魔のような顔とは一変して、好奇心に満ちたキラキラした目はまるで、何も知らない純粋な子供のようにも見えた。 今思えば、僕の変身した姿を見たいと言った時もあんな目だった気がする。 敵の情報を探る為だなんて、もしかすると本当にあの人は考えていなかったのかもしれない。 「はぁ……。僕はこれから、どうしたらいいんだろう」 このままリア・リセスと、恋人として振舞っていたらいいのだろうか? まぁ確かに外見は綺麗だし、時折見せる意外な顔がたまに可愛い……とは思うけど。恋人みたいに手を繋ぎたいとか、キスしたいのかと言われるとよく分からない。 多分彼の事、そういう意味で好きなわけじゃないんだと思う。 それなのに、いつまでもこのままズルズル恋人ごっこを続けていたら相手に失礼な気が。 「いや。そもそも向こうも、僕の事本気で好きなわけじゃないよね?」 だって、会って数分で告白してきたし。 裏が無かったとしても、きっと彼のただの興味本位な気がするーー。
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