上司の部屋で、ブルーは王にキスをする

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ピー!ピー! 「<おはようございますブルー君。只今八時十五分ですが、もう起床されていますか?>」 「あっ、は、はい!大丈夫です!」 目覚まし時計の隣に置いていた腕時計型通信機からの突然のおはようコールに、思わず声が裏返る。 「おや?もしかして今ので起こしちゃったかな?」 「だ、大丈夫です。ビックリしただけなんで」 声の調子を整えて、ヒーロー管理部会の人に再度返事をする。 なんだろう。さっきまでリア・リセスの事ばかり考えていたせいか、胸が罪悪感でチクリと痛む。 それに、まだ少し動揺してるし。 「えっと……それで、朝からどうしたんですか?魔人でも現れました?」 どうやら管理部会の人は、僕が動揺していた事には気付いていない様子だったが。念のため悟られないよう話題を切り替える。 「あ、いや。今回は『室長』からの命令でね。ブルー君の都合が良ければなんだけど、管理部会の方へ来てもらえるかな?」 室長の名前が出た途端。気持ちが一気にガタリと落ちてしまった。 そう、例えるのなら。宝くじの番号が当たってたと思ったら、去年のものだったみたいな。大好物のカレーを食べようと思ったら、苦手なグリンピースが入ってたみたいな。そんな落胆にも似た気持ちだ。 「わ、かりました……」 「はは!大丈夫だよ!すぐに済むからって言ってたし」 「あぁはい、有難うございます」 プツリと通信が切れたと同時に、力が抜けたように枕へ顔を埋める。 リア・リセスとの約束の時間は、確か十一時。 今から管理部会に行っても、十分に間に合う。 「はぁ……どうして今日っていう日は、こんなにも忙しいのだろう」 僕の日曜日、返してください。 きっと社会人は毎日がこんな気分なんだろうなぁ。なんて社畜にでもなった気分でいそいそと私服に着替え。まずはヒーロー管理部会へと足を運んだ。
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