上司の部屋で、ブルーは王にキスをする

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女だからと言ってセクハラが許されるわけではないのだが。この人の場合は、ヒーロー管理部会にとってとても貴重な存在であるが為に、皆普通に受け入れてしまっている。というか諦めてしまっている。 というのも。この人は若くしてこのヒーロー管理部会を立ち上げた天才であり。今では僕達の変身スーツや武器や装備を作ってくれている人でもある。勿論この腕時計も室長が作ってくれたものだ。 きっとこの人がいなかったら僕達は戦えていないし、そもそもヒーローというものが存在していなかったかもしれない。 それだけこの人の存在は、僕達ヒーローにとっても、ここに住む人達にとっても大事な存在なのだ。 「さて。今日はわざわざ来てもらって悪かったねぇ~ブルー君」 「いえ……」 「なに。ただの個人面談みたいなものさ。その辺適当にかけてくれ」 適当にと言われても、座る場所もないくらい散らかっている為。僕は仕方なく転がっていた鎧のような物に腰を下ろす。 「さてさて。今日ここに来てもらったのは他でもない。君も分かっているだろう?ブルー君」 「え?特に何も思い当たる事無いんですけど」 「おやおや?昨日あれだけの事があって、思い当たることが何も無いというのかい?」 「昨日の事……」 その時すぐに思い浮かんだのは、知られてはいけないリア・リセスとの関係。 まさかあの時、僕とリア・リセスが屋上で話していた姿を誰かが目撃して、ヒーロー管理部会に告発でもしたんだろうか。 もしそうなら、今日こうして呼び出された理由もハッキリする。 「あの僕!隠してるつもりじゃなかったんです!どうしたらいいのか分からなくて、それで」 苦しい言い訳だって分かってる。何を言っても許されないのは分かってるはずなのに。いざこうして後ろめたい罪がバレてしまうと、こんな見苦しい事しか言えなくなってしまう自分が恥ずかしい。 「僕、まだまだ未熟ですけど。皆を守りたいという気持ちあります!だからヒーローを、ブルーを辞めたくないです……」 「……」 僕をただジッと見つめてくる視線が怖くて、思わず瞼を閉じてしまう。 どうか、どうか、やり直せるチャンスをーー。
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