上司の部屋で、ブルーは王にキスをする

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「えっと……。武器を上手く使いこなせなかったくらいで、ヒーローを辞めろとは言わないさ?そんなに私は鬼じゃないぞ?」 「え?」 武器?の事、だったのか。 「あ、いや、えっと。そ、そうですよね~……有難うございます」 危なかった。早とちりして自分から全部を話してしまうところだった。 「うむ?なんだか話がかみ合っていなかった気がしたけど、まぁ今日のところは気にしないでおこうか」 どうせならそのまま忘れてほしいところなんだけど。この人の事だ。いつかまた話をぶり返して来るだろう。早いうちに誤魔化し方を考えておかなければ。 「それで。剣の使い勝手はどうだったかね?」 好奇心に満ち溢れた顔をグイグイ僕に近づけて、感想を求めてくる室長。 久々に使った剣の性能も、勿論スーツの力もとても凄かった。 一瞬で何もない空間さえも凍らせてしまうあの威力。きっと僕がもっと使いこなせるようになれば、凍らせておける時間も伸ばせるだろうし。範囲も広くなるだろう。 ただ。 「僕には重くて……」 「あ、やっぱり?いやぁ君のような貧弱な腕では、あの剣は重すぎるだろうなと思っていたんだよ」 僕の身体を舐め回すように見ながら、室長はあははと嘲笑って僕から離れる。 貧弱なのは自分でも自覚してる事だけど、こうもハッキリ言われると結構傷つく。 「ってなわけで。明日までにその剣を軽くしてやろう。ついでに変身スーツも新調してあげる」 「本当ですか!あ、いやでも……」 「なんだね?」 「僕の力不足が原因なんですし、ここは僕が鍛えて使いこなせるようにした方が」 「それで?君がその剣を使いこなせるまでに魔人達が暴れ出したらどうするんだい?」 「それは……」 「ならば早く使いこなせるように武器を改善させるのも手だろう?それに、軽くしたところで君がすぐにこの剣を使いこなせるとは思えないしね。だから君は君で、ちゃんとその貧弱な身体を鍛えたまえ」 先ほどまでのセクハラ室長が嘘のように、その眼差しは真剣なものに変わっている。 確かに、僕のせいでまた犠牲者が出るのはもう見たくない。 その為には、自分が強くなるしかないんだ。
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