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「すみません。よろしくお願いします室長」
「ヒヒッ……良いねその顔。とても雄の顔をしている。私はそっちの君の方が好きだよ?ギャップ萌えというやつだ」
「そ、そうですか」
またセクハラ室長に戻ってしまった。
これ以上ナニかされる前に、退室するとしよう。
「あ、待ちたまえブルー君」
「はい?」
「帰る前に、ここの掃除を頼むよ」
「え!?」
「まさか、私に借りを作ったまま帰るつもりなのかね?君は」
つまり、タダでは武器の修理はしないと?
「僕、ちょっと今日は用事があって」
「ほぉ?どんな用事だい?」
そう質問に、一瞬言葉が詰まる。
まさかこれから、魔界の王リア・リセスと遊園地に行くだなんて口が裂けても言えない。というか寧ろ信じてもらえ無さそう。いや言わないけど。
「えっと、友達と、遊びに」
「なんと!君にも友達がいたのかね!?」
なんか今、とても失礼な事を言われた気がする。
「僕にだって友達くらいいます!」
二人ほど。
いやでも、レッド君は友達に入れていいのかな?僕は友達と思ってるし、いい仲間とも思ってるけど。実際僕より年上だし、レッド君は誰にでも優しいからな。
「うむ。ではその友達とは何時に何処で待ち合わせをしているのかね?」
「十一時に、春先駅前です」
「なんだ、まだ二時間は余裕があるじゃないか。では時間に間に合うように頑張りたまえ」
「結局やらせるんですね!?」
「当たり前だ。社会は理不尽なものなのだよ。特に上司命令というものはね」
何故か得意げな顔を向ける室長は、学生の僕に社会の現実を叩きつけると、そそくさと別室へ移動してしまった。
「大人になるの、嫌になってきそう」
しかもどう見ても、この散らかった部屋を二時間で片付けるのは不可能だろう。
駅へ向かう時間を考えたら、残された時間は約一時間二十分。
とりあえず今は悩んでいる暇もない。
「とりあえず、さっさと片付けてしまおう!」
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