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「…ぁっ」
舌先に触れるあたたかな感触。硬い筋と骨の感触に、それが設楽の足である事に真崎は気付いた。
「尊…っ」
「そのまま上がってこい。お前が欲しいもんをくれてやる」
髪を掴んでいた手が離される。支えを失い、一度設楽の足へと顔を埋めた真崎はだが、不安定な上体を持ち上げた。
真っ暗な視界の中膝を使ってにじり寄り、ゆっくりと頭を下げていく。鼻先に熱を感じ取って、それが設楽のどの部分であるかを想像する。愛しい男の体温に頬を寄せれば、大きな手が髪をさらりと撫でた。
―――嫌じゃない…なんて…。どうして…。
設楽と関係を持つまでは、優しくされるなど御免だと、そう思っていた。事実プレイの後でも、優しい言葉や気遣うような言葉を掛けられればそれだけで気持ちが冷めてしまっていた真崎である。だからこそ設楽ならばと選んだつもりが、優しくされて嬉しいどころかあまつさえ自ら『優しくしてください』などと口走ったばかりだ。
変わりつつある自分に真崎は戸惑いながらも、大きな手に吸い寄せられるかのように頬を寄せていた。
「は…ぁっ、尊っ、どうか…わたくしを可愛がってくださいませ」
「だったら可愛がりたくなるように楽しませろよ」
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