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潰れた蛙のような声とともに躰を強張らせ、身動きもとれぬまま床の上に転がる真崎へと一度だけ視線を遣る。シーツを取り払い、手早く寝台の上を綺麗にする程度の事は設楽にとって苦になるものではなかった。再び綺麗に整えられた寝台の端に腰掛け、煙草を咥える。
煙草の匂いにつられたのか、不自由な躰を捩り、目隠しをされたままの真崎が床の上を這いずった。こんなところを見れば、どことなく可愛らしく思えてくるから設楽としては困ったものである。
少しの間そうして真崎を見ていた設楽は、不意に口を開いた。
「動くな」
「はぃ…」
短い静止の言葉に、委縮したように真崎が首をすくめるのが分かる。それに僅かな苦笑を漏らし、設楽は真崎の膝裏に挟み込んでいたポールを抜き去った。
「みこと…」
「物足りなそうな声を出すんじゃねぇよ。床を傷だらけにしてぇのか?」
「ぁ…」
「それにお前、そんな心配してる場合じゃねぇだろ。ん?」
ぐり…と、真崎の下肢を足で踏みつけて設楽は笑う。
「いぎ…ッ、あッ…ああ゛…」
「そろそろ出さねぇと、本気で使いもんにならなくなるんじゃねぇのか? なあ真崎よ」
一度だけ根元から先端までを足裏で扱き上げ、設楽はあっさりと脚を下ろした。刺激がなくなってもなお震え続ける真崎の目隠しを取り払うと、眩しさに幾度か目を瞬かせ、ゆらりと動いた視線が縋るように設楽を捉える。
優し気に微笑んで膝をついてやれば、真崎の口からは弱音が漏れた。
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