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ニッと可笑しそうに口角を上げる設楽は、首へと腕を伸ばす真崎の腰を自ら引き寄せる。痛みを感じるだろう程に力を込めれば、真崎の唇から艶やかな吐息と声が漏れた。
「っぁ…設楽…様っ」
「蹴落として欲しけりゃ蹲るんじゃねえ。面白くもなんともねぇからな。玩具でいてぇなら、持ち主をきっちり楽しませろよ」
「は…ぃ…。はいっ」
「それとお前、誤解してるようだから教えておくが、あれは俺の妹だぞ」
腕の力を僅かに緩めて設楽は言った。きょとんとした顔で真崎が見上げてくる。
「妹さん…ですか?」
「ああ。まあ、娘みてぇなもんでもあるがな」
かあぁ…と、一瞬にして赤くなった顔を俯ける真崎に苦笑を漏らす。こんな態度でずっと居るのなら、少しは真面に可愛がってやってもいいとは思う設楽である。だが、残念かな真崎が変態である事に疑う余地はなかった。それも、弩が付くと言っても過言ではないほどの…。
腕を離し、ソファに腰を下ろしながら短く『服を脱げ』と命令すれば、真崎の胸の突起をしっかりと穿ったピアスが目に入る。それを付けたのは、設楽自身だ。
足元に這い蹲り、何かを命じてくれと言わんばかりに目を輝かせる真崎を見れば、設楽らしからぬ僅かな後悔が頭を擡げてくるから困ったものだった。浅慮だったかと。
「二度と情けねぇ面を晒すなよ。言いてぇ事ははっきり言え」
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