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「はい…。見苦しい真似をして申し訳ありません…」
しゅんと項垂れる真崎のさまは、耳があったら確実に垂れているだろうと思う。だがしかし、それだけで済まないのがこの真崎という男がド変態と言われる所以である。
「あぁ…設楽様、蒙昧なわたくしを罰してください…」
頭を垂れ、卑屈に振舞いながらもその実、悦びを隠せずにいるその声に、設楽は意識せず冷たい視線を向けていた。ついでのように湧き上がる悍ましさはまごう事なき本心だ。
「目の当たりにするとやっぱり気持ち悪ぃなお前…」
「ああ設楽様…っ、そんな心の底から蔑むような目を向けられたら…わたくしはもう耐えられませんっ」
「…離れろてめぇ」
唸るような設楽の低い声に、ぴくりと肩を震わせて真崎がおずおずと床の上を退がる。
「設楽…様…、貴方に触れられないなど…」
「それ以上気色悪ぃ科白を吐くんじゃねぇ」
「…っ」
ぴしゃりと言い放ち、床の上の真崎を嫌そうな顔で見る。全裸でふるふると肩を震わせ両手をついたまま、うっとりと視線を向けられると心の底から後悔したくなる。もはや真崎自身がそう仕向けているのだとしたら…と、唐突に浮かんだ可能性が案外的を射ていてそうで設楽は慄然とした。
―――無意識なら無意識で、天晴だがな…。
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