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まして今回は、あっさりと雪人にまで性格を見抜かれ、挙句まんまと騙された設楽である。はぁ…と、小さく溜息を吐けば、目の前にコーヒーの入ったカップが差し出された。
「どうぞ」
「ああ」
「雪人様には困りましたね…。まさか尊まで騙すなんて…」
設楽の隣に腰を下ろしながら、些か照れくさそうに真崎が言った。
「気付いてたのか?」
「ええ。途中からですが…」
「俺が話すまでもなく、雪人さんには筒抜けだって事だろう」
今朝届いたと、そう言って雪人が匡成に見せた辞職願は、真崎が出したものではなかった。設楽が中身を確認できるはずもない事を見越して、雪人は用意したのだろう。設楽は、それにまんまと騙され、そして匡成に真崎との事を話したという訳だ。設楽からすればまったくもって食えない話である。
だがしかし、真崎を連れ戻しに行く際に雪人から渡されたファイルを見れば、それも仕方がない事かとどこか納得してしまう。雪人のような立場にいれば、すべてを調べない限り誰かを信用する事など到底不可能だろうと。
「尊は、それで京都まで…」
「ああ」
「尊がお叱りを受けないといいのですが…」
「親父のどこを見て言ってるんだお前は。まあ、そのうちお前も揶揄われるから覚悟しておけよ」
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