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リコリス
無性に手折りたくなるのは
歪んだ心中の顕れかもしれない
向こう側に連れて
醒めないように
岸に立っている
あなたの声がする
渡りの銅を
錆びたままに
手渡しするまで
徐波の狭間を迷ったフリで
夢想が効能を消す前に
悲願の渦中に両足を縫い付けて
向こう側はいつも
目の前にあって
だけど届かないのだ
あなたの顔も、もう…
手向けの緋を
萎れたままに
切って生けたら
意識の闇で逢える気がした
嗚呼
桐一葉
浸る水鏡
向こう側に語る
現の手前で
水に浮かべている
あなたへの餞を
あなたの声がする
遠のくそれは
確かにこの身を囚えた
届く日が来るまで
徐波の狭間の緋に游いで
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－
よく夢で三途の川をみた、とか聞きますよね…
リコリスは、彼岸花のことです。
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