定食屋の恋

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(2) 俺は長年住んでいた京都を離れ、新生活のスタートを切った。 学生とは違う生活。 自分で稼いでいく生活。 そして、初めての東京での生活。 もちろん忙しくて大変だが、毎日新鮮味があって、充実感はあった。 「お前さ、やせた?」 そう先輩に言われたのは、就職して2、3ヶ月くらい経ったときのことだった。 痩せたという実感は、確かにあった。 昼食を抜くことが多くなり、夕食は専らカップ麺……"ゆっくり食事をする"という習慣もなくなった。 「きちんと食べないとダメだぞ。忙しくなるのはこれからなんだから」 そう言って、先輩は俺の肩を叩いた。
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