定食屋の恋

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** 「……ってことがあったんだけど」 俺はおっちゃんに東京のparasol(パラソル)の話をした。 喋っている間、おっちゃんは目を固く閉じてなにか考え込んでいた。 どうしたんだろ……難しい顔して…… あまりに長い時間そうしてたので、俺は別の話題に移ろうとした。そのとき、ようやくおっちゃんは口を開いたのである。 「わかった!カルビーには話す!」 声の大きさに俺はびくりとした。 おっちゃんはお猪口をぐいっと空にして次を注いだ。 「あれは……おっちゃんがまだカルビーより若かった頃の話や……」 そう言いながら、おっちゃんは俺のお猪口にも並々と酒を注いだ。 俺は、ただただぽかんとおっちゃんの語りを聞いていた。
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