定食屋の恋

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女性の名前は、よし子さん。 外国で作られたお人形さんみたいなべっぴんさんで、おっちゃんはよし子さんを見た瞬間、恋に落ちてしまった。 とにかく話がしたかった。だから、おっちゃんはよし子さんが店を出るタイミングを見計らって、彼女を追いかけたらしい。店の人にはゴミ捨てに行ってくると告げて。 よし子さんは、おっちゃんのことを相手にもしなかったが、店を訪れる度何回も何回も話しかけられ、次第に心を許していったらしい。 そして、ふたりはいつしか恋仲になり、たまにおっちゃんがよし子さんを家に招いて料理を振る舞うこともあったそうだ。"ハンバーグ"も、出汁の効いた味噌汁も、食後のカルピスも……よし子さんは大好きだったらしい。 ふたりは料理を通して、愛を育んでいったのだ。
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