定食屋の恋

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** ある日、おっちゃんは一大決心した。 プロポーズである。 自分には、この人しかいない。 一生かけて幸せにしたい。 心からそう思えた。 「大事な話があります。明日、いつものところで待ってます」 おっちゃんはよし子さんに伝えた。 約束した日はクリスマス・イヴ。 雪が降りしきる中、駅前でおっちゃんはよし子さんを待った。 何時間も何時間も。 幸せそうなカップルや家族連れを見送りながら。この日のために必死で稼いで買った、結婚指輪を握りしめて。 しかし、待てども待てどもよし子さんが現れることはなかった。
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