定食屋の恋

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(6) 「ほんで……?」 俺は口を挟んだ。 おっちゃんはまたお猪口を傾けた。 「ほんでも何も……それで終いや。それからよし子は店にもぱったり姿を見せなくなった。そっから何年かして、おっちゃんは独立してパラソルのおっちゃんになったんや」 そして、また酒を注いだ。 「……で、よし子さんはいま東京にいてお店をやってる……」 俺は唸りながら考えた。 今度はおっちゃんが口を挟んだ。 「おっちゃんのことなんか忘れとんねん。よし子は、ええとこのお嬢さんやった……最初から叶わぬ恋やったんや……」 「そうかな?」 俺は首を傾げた。
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