定食屋の恋

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** 俺は腕組みをしながら壁にかけてある時計の針を見た。 10分経過。 ふたりを会わせてみたはいいのだが……さっきから座ったきり黙り込んでしまった。 これじゃ埒があかない…… 俺は強行突破することにした。 「ごめん、ちょっとコンビニ寄っていい?」 しんとした空気に言葉を吹き込むと、よし子さんの口が開いた。 「どうしたの?いきなり……」 俺は続ける。 「ちょっとね、買わなきゃいけないもの思い出して……いま買わないと忘れそうだし」 もちろん、買わなきゃいけないものなんて俺にはない。
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