定食屋の恋

32/46
前へ
/46ページ
次へ
「私、敬浩(たかひろ)さんのこと好きよ」 突然の告白に、おっちゃんは固まった。改めてよし子さんを見つめると、30年以上経っても変わらないやわらかな笑顔がそこにあった。 「私、あの日も行こうとした。だって、クリスマス・イヴでしょ?私ウキウキしてた。その日は普段の何倍もおしゃれに時間かけて、お化粧にも時間かけて……でもね……ばれちゃって……」 最後のひとことで、おっちゃんはすべてを察した。よし子さんは穏やかな口調で続けた。 「両親は私たちのこと、前々からよく思ってなかったみたい……だから、クリスマス・イヴに会うって知ったときもいい気分はしなかったんでしょうね……」 よし子さんは深くため息をついた。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加