定食屋の恋

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** 満足そうな表情のよし子さんを見届けたおっちゃんは、タバコを吸いに外へ出て行った。俺は、しばらくよし子さんとふたりきりになった。 「あぁ……懐かしかったなぁ……作ってる姿も昔のまんまだった……」 よし子さんは、さっきまで彼が調理していたところを眺めていた。 「ねぇ、おばちゃん」 俺は、余韻に浸っている彼女に声をかけた。 「前々から気になってたんだけどさ……なんで"パラソル"……?」 そう言いながら、俺はメニューの裏に書かれた"parasol"の文字を指差した。 パラソルの由来は、おっちゃんからも聞いたことなかったし……なんでよし子さんも自分の店の名前にこいつを使ったのか少し気になっていた。 「あぁ……」 よし子さんは頬を緩めた。
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