定食屋の恋

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「雨男なのよ、あの人。だからね、デートはいつも傘持ってかないとダメだったの。不思議なもんよね、お互い相談したわけでもないのに、お店に同じ名前つけるだなんて」 あぁ……だからパラソルか。 俺は納得した。 「それはお気の毒に……」 しかし、俺の言葉に反して、よし子さんは首を振った。 「ううん。傘もお洒落のひとつだから、デートの傘を選ぶのも結構楽しかったのよ?それに……」 そう言って、窓の外を見つめた。 俺も釣られてよし子さんの視線を追った。 「うわぁ……どおりで静かだと思ったら……」 よし子さんは微笑んだ。 「雨男もいいもんよ、この季節は特に」
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