定食屋の恋

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「いらっしゃい!」 店に来たのは4人組の学生で、初めての客らしかった。おっちゃんはお冷を持っていき、壁に掛かっているメニューを丁寧に説明した。 また帰りにちょっと話そうかな…… 俺は食べかけのハンバーグに再び手をつけた。黙々と箸を進める。 次……いつになるかな…… しばらくすると、とんっと何かが置かれる音がした。 「ゆっくりしてきや」 おっちゃんは、そう言いながらいつものようにカルピスを置いた。 食後のカルピスもこれで最後か…… そう考えると、とても感慨深く感じた。 「ありがと」 その言葉を聞いて、おっちゃんは満足そうに厨房へ姿を消した。
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