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あれから、いく年も流れた。
あのあとからも、女性は毎晩出てくるようになり、いつしか会話ができるようになっていた。
会話ができるようになっても、彼女のことは、夜中に出てくる幽霊という認識を持っていたが、人生で初めて現実ではありえないことが起こった。
それは、幽霊であった彼女と実際に再会し、入籍を果たしたことだった。
本物の彼女と出会うまで、死んでいたと思っていただけに、当時とても驚いた。
だからこそ、毎晩出てきた幽霊の女性が実は生きている人物で、結婚するなんて誰も思いもしないだろう。
だが、生身ですれ違った瞬間に振り向くと彼女と視線が絡み合った時、「(枕上に出てくる彼女だ!)」と確信を得たのは確かだ。
入籍後、彼女の霊を見ることはなくなったが、その代わり彼女は”そば”にいて、傍で優しく撫でてくれているのだ。
俺にとってその時こそが、一番幸せな時間になっている。
人生の中で彼女と一緒に居る時間は特別なものになっていき、俺にとって彼女は唯一無二の存在になり、彼女が幸せだと思うような家庭を築いていきたいと決心したのだった――。
終わり
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