第1章

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姿を表した男女の内一番年嵩の初老の男が、他の者に指示を出す。 「奴らの服を剥ぎ、血抜きをするために木に吊せ! 血もちゃんと取っておくのだ、分かっているな」 最初に、3~40代の男2人と10代半ばから20歳前後の少年3人に声をかける。 「オウ」「ハイよ」「分かった」 「お前達は車を中に入れろ。 ゾンビに気を付けるのだぞ」 続いて、10人程の40代から10歳前後の女達に指示を出した。 「はい」「分かりました」「ハーイ」「ウン、気を付けるよ、爺ちゃん」 男達が死体の服を剥いで木に吊し、死体が持っていた散弾銃やボウガンなどの武器を回収。 若い女の子達がボウガンや弓を構えて門の前の道に出て、道の先や周囲の田圃に警戒の目を向ける中、最年長の女がワゴン車を門の中に入れる。 門を閉め閂をかけ鍵をかけてから女達は、ワゴン車に積まれていた物資を倉庫に運び入れた。 倉庫に物資を運びながら女達が会話を交える。 「新鮮な肉が手に入ったから今日は鍋が食べたいな」 「うん。 塩漬け肉や味噌漬け肉は飽きたわ」 「鶏の肉は卵を産まなくなったのしか食べられ無いからね」 「もう涎が止まらないよ」 彼らは初老の男を家長にいだく家族。 ゾンビが徘徊する世界になってから逃げ惑い助けを求める人達を罠にかけ、罠にかかった者達が持っていた物資を奪い、その肉を食料として生きて行く事を選択した人間達だった。
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